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「帝国」の暴走、「属国」の従順 第1回


01月09日(水) 16時20分
文:東  



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2003年5月1日、米軍機でサンディエゴ沖の空母エイブラハム・リンカーンに着艦したブッシュ大統領は、イラク戦争の戦闘終結宣言を行った (米海軍HPから)
 揺らぐ“星条旗”。

 1991年12月のソ連崩壊後、唯一の超大国として君臨してきたアメリカは、その象徴である星条旗を世界に棚引かせてきた。

 9・11同時多発テロの惨事によって世界から同情されたアメリカだが、その感情は瞬く間に批判の矛先や嫌悪感に変貌してしまった。アメリカは、先制攻撃を強引に正当化しアフガニスタンを空爆したばかりか、イラク、イランと次々に敵をつくりあげ、決して少なくない国から危険視される「帝国」に姿を変えた。元凶は単独行動による威嚇的な武力侵攻をも厭わないブッシュ政権にあり、いまでは共和党内からも危惧する声が上がっている。

 大量破壊兵器の開発疑惑を理由に、米英軍がイラク攻撃を始めたのは2003年3月19日。わずか43日後の5月1日、ブッシュ大統領は米軍機に乗り込み、サンディエゴ沖で航行中の空母「エイブラハム・リンカーン」に着艦、事実上の勝利となる戦闘終結宣言を行った。ブッシュ大統領が異例のパフォーマンスまで演じた背景には、イラク戦争の勝利と正当化の喧伝、さらに翌年に控えた大統領選での再選を強く意識していたことは間違いない。

 とはいえ戦闘終結宣言以降、米兵をはるかに上回る無辜のイラク国民の命が奪われ、イラク問題は泥沼化している。

 AP通信が06年に米国民を対象に実施した世論調査では、国内外の世論に耳を傾けないブッシュ大統領の好戦的な政治手腕が浮き彫りとなった。「悪役」の部で25%、「ヒーロー」の部で13%の投票率を獲得、双方で1位に選ばれたのは、ブッシュ大統領だった。悪役ではオサマ・ビンラディン、サダム・フセインを引き離したことは特筆される。

 ブッシュ政権が終盤に突入した現在、11月4日投開票の大統領選を控えたアメリカは、共和、民主両党の指名候補争いがデッドヒートしている。いずれの候補が大統領に就いても、イラク駐留米軍の進退問題などアメリカの外交政策がブッシュ政権からの転換を余儀なくされることは明白だ。

 もはやアメリカ本土でテロ活動をできないテロリストにとって、ターゲットであるアメリカ軍がイラクに駐留し続けることは、願ってもないことである。アメリカがこれまでの外交政策(特にイスラム政策)を修正しないかぎり、世界はテロの脅威に脅え続けることになる。

 国際社会の中軸をなす主要国は、アングロサクソンとアラブ、あるいはキリスト教徒とイスラム教徒の衝突要因やその構図を理解したうえで、その対立を沈静化すべく働きかけることが不可欠となっている。

 日本は同盟国の立場からアメリカの外交政策にでき得るかぎり追従してきたが、それが必ずしも日本の国益に結びついているとは言い難い。同盟国であればこそ、日本はアメリカの暴走や他国に対する恫喝を正さなければならず、結果としてはアメリカの国益にも合致する。

 しかし、日本の現状は「帝国」の暴走に歯止めをかけるどころか、従順極まりない「属国」と化している。(つづく)







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