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ジャーナリスト・惠谷 治「独裁者の秘密を徹底検証ドキュメンタリー金正日」
独裁者の秘密を徹底検証 ドキュメンタリー金正日 第23回


03月07日(金) 00時00分
文:惠谷 治 



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1950年の金日成のモスクワ訪問は、ソ連軍が用意した飛行機による訪問だったが、前年2月の建国初の訪問は鉄道によるものだった。3枚の写真は1949年のソ連訪問時のもので、一番上は、2月22日、平壌を出発する政府代表団を見送りに来た平壌駐在のテレンティイ・シュトゥイコフ大使と談笑する金日成。左端は副首相兼外相の朴憲永、その右隣が最高人民会議議長の許憲、右端は国家元首に相当する最高人民会議常任委員会委員長の金△奉。真ん中の写真は、3月4日、モスクワに到着後、儀仗兵による栄誉礼を受ける金日成(横顔)。その右のヒゲの人物がアナスタス・ミコヤン副首相、その右の制帽をかぶっているのがグロムイコ第1外務次官、その右のメガネの人物が朴憲永、右端が洪命憙副首相である。下の写真は、帰国の途に着く前、モスクワのヤロスラフスキイ駅前で栄誉礼を受ける金日成(右端)。その左の敬礼している人物はニコライ・ブルガーニン首相代理(中央)。 △はキヘンに斗
 第3部 独裁者・金正日権力の源泉
 第1章 党の謀略機関を掌握し拉致工作を定式化
 [第23回] ソ連軍の支援を受けて10個師団に拡充された朝鮮人民軍

 「同志金日成の不満はわかるが、彼が実行を望んでいるような、南朝鮮に対するこのような大事業には、大がかりな準備が必要だということを理解しなければならない。<略>もし金日成がこの件に関して私との会談を望んでいるならば、私は彼を迎え入れ、会談の準備を整える」(トルクノフ『朝鮮戦争の謎と真実』92頁)

 スターリンは平壌のシュトゥイコフ大使からの報告に対し、1月30日、以上のような回答を送付した。

 2月4日、金日成はシュトゥイコフ大使と会見して、3個歩兵師団を増設し、人民軍を10個師団体制に拡充したいとして、協力を求めた。シュトゥイコフ報告を受けてスターリンは、2月9日、金日成の要求を承認した。その対価として、北朝鮮は金9トン、銀40トン、そして放射性鉱石モナザイト1万5千トンを、ソ連に支払うことになった。ソ連軍は朝鮮人民軍の拡大にともない、平壌駐在のソ連軍事顧問団を交替させることにした。

 「2月末あるいは3月初め人民軍を育成した総顧問スミルノフ騎兵少将以下、全顧問がソ連へ引き揚げた。<略>替わって、ヴァシリエフ中将以下、10数人の新しい高級顧問が来着した。去った顧問たちにくらべて、すべて一階級上の将校たちである。<略>総参謀長顧問は、ポストニコフという少将であった」(『朝鮮戦争の真実』173頁)

 朝鮮戦争当時、人民軍第2軍団の工兵副部長だった朱栄福少佐は、以上のように手記に書いている。

 人民軍の増強が進むなかで、金日成はスターリンと会見するため、3月30日、朴憲永とともにソ連軍が用意した飛行機でモスクワに向かった。1カ月近くの滞在中、金日成はスターリンと3回会見した(トルクノフ『朝鮮戦争の謎と真実』97頁)。そのうち、日付が明確になっているのは、4月25日だけであるが、クレムリンで金日成と会見したスターリンは次のように語り、金日成の南侵統一に理解を示した。

 「国際情勢は変化しており、朝鮮統一のためによりいっそうの積極的行動をとることが可能となった」

 スターリンが語った「国際情勢の変化」とは、まず第1に、中国共産党の勝利、中ソ友好同盟相互援助条約の締結、そしてソ連の核保有だったことが明らかになっている。アチソン演説によって朝鮮半島はアメリカの防衛ラインの外側に置かれ、ソ連が誤ったシグナルを受け取ったという国際政治学の通説を裏付けるような言葉は見当たらないものの、スターリンが戦略転換を決断したのは、米軍の朝鮮への自動介入はないと判断したためと思われる。

 いずれにせよ、スターリンは、南侵統一には北京の支持が絶対に必要という条件ながら、金日成と南侵統一の「3段階の作戦計画」についても議論した。金日成は、開戦すれば南朝鮮で20万人の労働党員が蜂起する、とスターリンに保証した。その日(4月25日)の午後、金日成と朴憲永は勇躍帰途につき、ソ連軍の特別機で清津に帰着した。

 急速な増強を続けていた朝鮮人民軍は、その頃までに次のような10個の歩兵師団が編成され、兵力は18万人に達していた。

 第1師団(1947年3月創設、价川) 師団長 崔 光少将(後の人民武力相)  
 第2師団(1947年3月創設、咸興) 師団長 李青松少将  
 第3師団(1948年2月創設、平康) 師団長 李永鎬少将(後の中国大使)  
 第5師団(1949年8月創設、羅南) 師団長 金昌徳少将(1966年に粛清)  
 第6師団(1949年10月創設、新義州) 師団長 方虎山少将(1956年に粛清)  
 第4師団(1950年3月創設、南浦) 師団長 李×武少将  
 第10師団(1950年3月創設、新義州) 師団長 崔勇進少将  
 第15師団(1950年3月創設、会寧) 師団長 朴成哲少将(後の国家副主席) 
 第12師団(1950年5月創設、元山) 師団長 全 宇少将

 また、1949年5月に1個戦車旅団が編成されており、以下のような内務省の「38警備旅団」が予備兵力として、38度線付近に配置されていた。

 第105戦車旅団(平壌) 旅団長 柳京洙少将  
 38警備第1旅団(杆城)  旅団長 呉白龍少将(後の護衛総局長) 
 38警備第3旅団(竹川)  旅団長 崔 賢少将(後の人民武力相) 
 38警備第3旅団(市辺里)  旅団長 李益成少将 (つづく) 

×は潅のサンズイがキヘン







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