メディア・リテラシー
03月11日(火) 12時35分
徳永エリ
寒い冬もようやく抜け出し、春が近づいている気配がするここ数日です。皆さん、お元気ですか?
私は先週、何年かぶりに高熱を出しました。トークDE北海道の生放送が終わった後、全身の節々がだるくなり、喉も痛く、これはまずいと病院に行って点滴を打ってもらいました。いつもだと、点滴を打っている最中から体が温まる汗が出て調子が良くなるのですが、寒くて寒くて、どんどん具合が悪くなって家にたどり着いて熱を測ったらなんと40度!
翌朝9時から番組のロケが入っていて休むわけにいかないのでとにかく温かくして寝ました。朝起きて熱を計るとまだ39度ある。でも、這うようにしてベットから起き上がり、シャワーを浴び支度を整えてロケに行きました。同じ状態で翌日もロケ。
しかし、我ながらプロといいますか具合の悪さは顔に出ないし、カメラが回るととりあえずシャキっとするし、なんとかこなしました。3日目はお休みだったので死ぬほど寝て熱は下がったものの、無理をしたせいか、食欲はない、身体に力は入らないひどい目に遭いました。
おとといの朝、仕事に出るのにメークをしていたら白目が青いんですよ。真っ青というくらい。普段から青っぽいのですが、あまりにもすごくてこれはおかしいと不安になって仕事が終わってから漢方薬局に相談に寄ったんです。
東洋医学的診断では、肝臓がかなり弱っていて体が限界まで衰弱しているということ。私はなんとか元気を出そうと滋養強壮剤を何本も飲んだり、黒酢を飲んだりしていたんですが、本当に弱っている時にそれをやると少しずつ回復しようとしている身体に対して「ほら頑張れ」、「もっと頑張れ」とお尻を叩くようなことになってますます負担が大きくなって衰弱するそうです。
漢方薬を処方してもらい「これを3日ぐらい飲むと元気になってきますよ」と励まされ、今日ぐらいからやっと少し力が出てきた感じです。大体、昼間の仕事だけでも大変なのに、夜は2時まで店を営業しているので睡眠時間は毎日3、4時間。それを10年以上も続けているのですから身体も悲鳴あげますよね。もう、若くないし。でも、もう一息。息子が一人前になるまでは頑張らねば。
さて、今回のモノ申すはメディア・リテラシーについて。
メディア・リテラシーとは情報メディアを批判的に読み解いて、情報を引き出し、その真偽を見抜き活用する能力。情報を評価、識別する能力の事。これを意識してテレビや新聞、週刊誌などのメディアと関わることが大切なのである。
もの、人物、集団出来事についての捉え方は個人や集団によって異なる。例えば、一般的にある出来事の取り上げ方が朝日新聞は左寄り、読売新聞は右よりと言われ、両方を読んで自分なりの捉え方を考えろという人もいる。情報の発信者(TV、新聞、雑誌などのメディア)がその物事について、どのような捉え方をしたかによって、受け手の理解も違ってくるし、様々な影響も出てくる。
一次情報といえども、必ず何らかのフィルターを通ってきているものであり、まったく方向性を持たない情報はないということ。また、情報を意図的に改変、誇張して発信する事(情報操作)によって、聞き手、読者、視聴者、世論等の考えを一定の方向に誘導する事も出来てしまう。
一つ一つの情報は正しくても、それらが集合する事によって異なった意味を持つという側面があり、発信された情報は程度の差こそあれ、何かしらの偏りがある事を理解しておく必要がある。そのために、受信者の側に立つ人間は、その情報は信頼できるものかどうかを判断する事はもちろん、その情報にどういう偏りがあるか、さらに一歩進めて、その情報を発信した側にはどのような意図、目的があるか考える。一つの物事を理解するために複数のメディアを利用して自分なりに判断する事が、情報への依存度が高い今日の社会では重要な事だと思う。
先日、横綱の朝青龍が休暇で行っていたハワイから帰国する際、ホノルル空港にアロハ、短パン姿で現れたところをしつこく写真を撮った東京スポーツのカメラマンに対して「死ね!ばかやろう」と言ったことが、横綱の品格に欠ける等と、モンゴルサッカー事件以来、またまた騒がれた。
私は、朝青龍の気持がわかる。私も東京時代は芸能リポーターをやっていたので、週刊紙の記者、リポーター、カメラマンがどれだけしつこくてうっとおしいか良くわかる。我々の時代は、「象にたかる蝿」と言われたもんだ。そのくらいうっとおしいのだ。「死ね!」と思わず言いたくなる気持はわからないでもない。
モンゴルサッカー事件であれだけバッシングされ、謹慎処分も受け、そしてそんなことに負けずに初場所で優勝決定戦まで登りつめたその頑張りはあっぱれだと思う。力士として、横綱としてやらなければならないことはきちんとやってのけたのだから、休暇の時のちょっとした気の緩みぐらい、そっと見逃してあげるべきだろう。メディアではこのところ、朝青龍のふてぶてしいところや、苛ついているところばかり取り上げるが、家族思い、友達思い、努力家で実際に本人にあった人に話を聞くと礼儀も正しく頭も低い人だという。
一連の問題の影に、相撲協会の悪しき歴史や体質もあるかもしれないし、部屋の親方との関係もあるだろうし、言いたいこともいえない朝青龍の精一杯の忍耐の形が本人の思いもしない方向に行ってしまったのかもしれない。実はとても人として正直に生きているのかもしれない。
しかし、メディアで取り上げている姿ばかり見ていると、生意気、悪役といったイメージを抱いてしまうに違いない。時には人の人生を狂わせてしまう事だって考えられる。メディアとはある意味恐ろしいものである。
先日、サイパンで逮捕された三浦和義元社長と私は10年程前から交流がある。作家の家田荘子さんに頼まれて、お忍びで札幌に来た三浦さんを滞在中お世話をしたことがきっかけで電話が来たり、年に1、2度は私の店を訪ねてくれていた。お酒は飲まず、たばこも吸わず、子供のように無邪気なところもあって不思議な雰囲気を持った人である。
本当にこの人が、愛する妻を保険金目的で殺害する事を依頼するなんて事ができるのだろうかと、会うたびに思っていた。正直、考えられない。逮捕されたというニュースを見てすぐ携帯に電話をかけると、「三浦です。今、海外旅行中です!帰国したらすぐお電話しますのでメッセージをお願いします!!」と明るい声で留守録が入っていた。逮捕されるとは夢にも思っていなかったのか…。
三浦さんが最初の犯罪を犯したのは(世の中に知られた犯罪は)中学生の時。放火し、自ら警察や消防に通報し、火が燃えさかり人が大勢集まった中で、その家の中に取り残された小さな子供を助けに、三浦少年は火の中に飛び込み、救い出す。命を救った勇気ある少年として新聞に取り上げられたが、後日、三浦少年が放火犯だった事が判明する。
ロス疑惑事件で逮捕された時も私は現場に居たが、逮捕された人間の絶望的な表情ではなかった。大勢の警察関係者、新聞記者やTVリポーター、無数のカメラの放列の中、彼の表情は喜びに満ちていた。エクスタシーを感じているような輝く表情だった。無罪が確定してからも、皆さんご存知のように、書店やコンビニで万引きをしたり、恵庭OL殺人事件の大越美奈子容疑者の冤罪を訴える活動をしたり、静かに生活するというよりは色々な方法でメディアのスポットライトを浴びることを、あえてやっている感じがする。
三浦さんはメディアの特性を知っていて、自分がスポットライトを浴びているためにメディアを利用しているのだと感じる。今回も、引退したロス市警のジミ−佐古田さんが再び捜査に立ち上がったり、マイケル・ジャクソンの弁護をした弁護士に依頼するなどメディアが取り上げるネタとしてはおもしろい役者が揃ってきた。
今起きている事は、三浦さんの人生のシナリオにあったことなのか。彼はこの状況を苦しんでいるのか、それとも楽しんでいるのか。メディアに利用されたり、利用したり。権力ある人たちからの圧力を懸念して、隠蔽している情報もある。我々が真実を知る方法はどこにあるのだろう。
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