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「札幌シネマ通(ツウ)」 <ナンセンスとシリアスが痛快に交錯>


03月21日(金) 07時00分
文:辻 



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4月5日よりスガイシネプレックス札幌で公開(C) 2006 IM Pictures Corp. All Rights Reserved.
 〜「恋の罠」公開間近〜

 韓国映画である。製作は2006年。監督・脚本は「スキャンダル」などのヒット作品の脚本で知られるキム・デウが、今作で監督としてもデビュー。主演は韓国の実力派人気俳優ハン・ソッキュ。その情事の相手となる王妃役のキム・ミンジョンは、この作品で大韓民国映画大賞主演女優賞にノミネートされた…。

 と、ここまではいただいた資料を基に書きました。なんせ韓国映画観るの生れて初めてなもんで、予備知識がまったくございません。

 実はこれまで避けてきたんですよ、韓国作品。映画もドラマも。話せば長くなるので省略しますが、いわば偏見混じりの食わず嫌いでした。すみません。この「恋の罠」観て反省しました。韓国映画、面白い!なんか、製作の空気に自由さを感じた。さんざんブームになったあとすっかり人気が定着してるのに、今更なんだけど。

 でもまぁ、食わず嫌いなんてのはよくある事で、この作品もね、封建制度でがんじがらめな時代の真面目な貴族が、ひょんなことからワイセツな小説で人気作家になって、当時タブーとされていたものに夢中になってくんですよ。本人も最初は毛嫌いしてたのに虜になっていく。

 それで、王妃との許されざる情事をネタに、ベストセラー書いたり、対立している一族の男まで巻き込んで挿絵を描かせたり。大の男が、それも規律や制度に縛られていたはずの責任ある立場の者が、その足かせを飛び越えて、仲間とともに嬉々として取り組むんですよ。今で言う「エロ小説」書くことに。

 韓国映画を避けてたハズの僕が、どんどん引き込まれていく物語の中では、主人公が禁慰の対象としていたものに自らまい進していく。その夢中になっていく様がバカバカしいくらいにユーモラスに、ナンセンスに描かれていて、エロ小説の内容を検討してることが、爽やかに笑える。

 丁度アレですよ。ノリとしては日本でバンド組んだ奴らが、どうやったらよりイギリスハードロックバンドに近づけるか真剣に取り組んでるみたいな感じで、真剣になればなるほど周囲が笑えるというのに近いかもしれない。しかも、そこで議論される内容が「SEX」だからね。自然と「おかしみ」がかもし出される。それも大昔の議論だから、今では中学生でも知ってそうな事を、重大で過激な禁止行為として熱中しているんだから、大笑い。しかも、ふと我に返ると、逆に現代の開放ぶりがちょっと怖くなってくる。

 まぁ、これだけだと単なる「おバカ映画」になりかねないんだけど、そこに絡む時代背景(厳格な封建制度の李時代)の息苦しさや、残酷さ。それに、情事の相手である王妃との禁断の関係や、愛憎、愛欲、主人公の作家としてのエゴなど、シリアスな部分が交錯して、スリリングかつ作品として見応えのある展開。

 なにより、このナンセンスの軽さとシリアスの重さ暗さの振れ幅の大きさと、衣装を含めた映像の美しさが、全体をダイナミックでエネルギーの満ちた作品にしている。官能小説を巡っての血なまぐさい愛憎劇を観たはずなのに、観終わって妙に爽やかに力漲っているのはなぜだ?

 139分という上映時間にも関わらず、冗漫なところもなく最後まで時間を忘れて楽しめる作品。日本で作ると品がなくなるだろうし、ハリウッドだと何の説得力もないものになるだろうな。多分、韓国作品ならではの重厚さと、制作における自由な空気が前提にあってこそ成り立つ映画なんだろう。

 最初に観た韓国映画がコレでよかった。

 それにしても、王妃役のキム・ミンジョン、本当に美しい。思わず息を呑むとはこのことか?個人的には、彼女のアップだけでもう30分増えてもいいとさえ思いました。

 「恋の罠」は4月5日から、札幌市中央区の「スガイシネプレックス札幌劇場」で公開。







■辻 正仁(つじ まさひと)

1966年生まれ。
FM新さっぽろ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、ミュージックショップ「音楽処」の準スタッフ等々、様々な分野で活動中。
自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。



関連サイト

恋の罠 オフィシャルサイト
http://www.cinemart.co.jp/koinowana/






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