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「あたご」の見張り体制、回避措置は「不十分」 防衛省が内部調査の中間報告


03月21日(金) 15時20分
文:東  



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石破茂防衛相とイージス艦「あたご」(あたごの写真は海上自衛隊HPから)
 「清徳丸」との衝突事故は、「あたご」に避航義務。

 先月19日午前4時7分頃、海上自衛隊のイージス艦「あたご」と新勝浦市漁協所属のマグロはえ縄漁船「清徳丸」の衝突事件を受け、防衛省は21日、調査の中間報告を発表した。

 石破茂防衛相は、同日の閣議で衝突事故や護衛艦「しらね」の火災など不祥事が続く海上自衛隊の吉川栄治海上幕僚長を更迭、その後任に赤星慶治佐世保地方総監を充てる人事を報告し、了承された。

 また防衛省は、事務方トップの増田好平事務次官を減給2カ月(10分の1)、制服組トップの斎藤隆統合幕僚長を減給3カ月(同)とするなど88人の処分を決めた。

 イージス艦の衝突事故に関し、防衛省は海上保安庁の捜査とは別に3月6日、海上自衛隊の海上幕僚副長を長とする艦船事故調査委員会を設置した。20日までに衝突前や衝突時の当直員を中心とした「あたご」乗組員約70人に対する聴取や「あたご」に残された機材のデータなどを確認する調査を実施、中間報告を公表した。

 事故については海上保安庁が捜査中のため、委員会の調査は事故原因を解明する上で欠かせないすべての乗組員に対する聴取が行えないという不十分な状況で実施されたものだが、次の内容が明らかになった。

 [あたごの航行状況]

 乗組員の供述によると、「あたご」は2月19日午前1時から2時までの間に約20分間、手動操舵で航行、その後、当直士官の命令によって自動操舵に切り替えた。

 艦位、針路、速力などのさまざまな航海情報を推定する船体運動状態表示装置には、午前4時5分の時点で、針路327度(北北西)、速力10.4ノットと記録されている。

 [あたごの当直体制]

 艦橋、CIC(戦闘情報センター)、機関操縦室の当直は、それぞれ11人、7人、6人の計24人が基準。衝突前の当直士官は航海長、衝突時は水雷長だった。

 衝突前の当直(以下、前直)は計25人、衝突時(以下、現直)は計24人だった。通常航海時の体制は、5組の当直が2時間または2時間半おきに交代する5直体制。衝突前後の当直の時間割は、午前2時〜午前4時、午前4時〜午前6時30分。

 [前直と現直の交代状況]

 現直の当直員が午前3時50分頃、艦橋に集まり、午前3時55分に整列。その1分後、前直の副直士官から注意事項の示達を受け、それぞれの配置で申し継ぎを行った。

 CICでは通常、7人の当直員が勤務すべきところ、前直については船務長の許可を得ていない電側員長の判断によって、前半1時間(午前2時〜2時55分)は3人、後半1時間(午前2時55分〜3時55分)は4人の当直員で勤務していた。CICに設置されている2台のレーダー指示機中1台には、継続的な要員が配置されていなかった。現直のCICの当直は通常の7人が勤務していた。

 [当直員による漁船の視認状況]

 前直の当直員の供述内容から午前3時30分以降、当直員が右30〜50度の方向に数個の白灯と紅灯を視認している。この灯火と「清徳丸」の関係は、現在まで不明。

 現直の当直員による供述では、午前4時5分頃までに、当直員が右5度及び右20〜50度の方向に数個の白灯と紅灯を視認。これらの灯火と「清徳丸」の関係も、現在まで不明。

 さらに現直の当直員による午前4時6分頃以降の視認状況は、当直員が「あたご」に接近中の「清徳丸」を視認、「清徳丸」の白灯と紅灯を認め、「両舷停止」「後進一杯」が下令された。

 防衛庁は2月19、20の両日、「午前3時55分頃、『あたご』の見張員は、『清徳丸』の灯火を確認したと思われる」「午前4時5分頃、『あたご』の見張員が右方向に…、緑色の灯火を視認した」と発表しているが、艦船事故調査委員会は調査で、これらに関する情報を得ていない。

 [レーダーによる漁船の認識状況]

 「あたご」は通常航海時にレーダー指示機を3台使用、1台を艦橋、2台をCICに設置している。このレーダー指示機は、対水上目標の捜索をする水上レーダーまたは航行安全を目的にする近傍目標を捜索する航海用レーダーの画面を表示できる。レーダー指示機のうち1台は捜索した表示内容を記録できるが、通常は演習や訓練時に記録するため、衝突時の記録はとっていない。さらに当直員がレーダー指示機で「清徳丸」を認識したとの情報は得ていない。

 [衝突回避の措置]

 現直の当直員は、当直士官の「両舷停止、自動操舵止め」、「両舷後進一杯」の下令後、当直士官が右ウイングに向かうの見て、後を追って向かうところで衝突音らしき音を聞いた。

 別の現直の当直員は速力区分が変更されるとランプが点滅するテレグラフの点滅を確認したと記憶している。次に「後進一杯」の司令を聞いた際もテレグラフの点滅を確認したと記憶している。

 [艦長の行動]

 艦長は18日午後6時頃に艦橋から降り、夕食後は艦長室で入港に関する通関準備などの作業をしていた。19日午前零時30分頃、艦長室で仮眠。午前4時頃、目が覚め、艦橋に上がろうかどうかと考えていた時、「漁船と衝突した」との艦内マイクが入り、事故発生後、艦橋に上がった。

 [あたご全体の対応の評価]

 艦橋で当直していた見張員やCICで当直していたレーダー見張員の供述に基づけば、艦全体における見張りが適切には行われていなかった。

 委員会の聴取結果によると、「あたご」は午前4時6分頃に「清徳丸」を右舷に見ていることから、「清徳丸」が「あたご」の右側から近接した可能性が高く、その場合は「あたご」に避航の義務があったが、「あたご」は適切な避航措置をとっていない。衝突直前に「あたご」がとった措置は、回避措置として十分なものでなかった可能性が高い。

 [捜索・救助の状況]

 「あたご」は、捜索・救助活動に可能な限り尽力したと考えられるが、さらに改善すべき点がないか、検証していく必要がある。










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