BNN [Brain News Network]

携帯からBNN[BNN携帯サイトへ]
RSS

記事検索


今すぐ!!北海道のニュースサイト
HOME ニュース スポンサー一覧



ジャーナリスト・惠谷 治「独裁者の秘密を徹底検証ドキュメンタリー金正日」
独裁者の秘密を徹底検証 ドキュメンタリー金正日 第30回


03月28日(金) 00時00分
文:惠谷 治 



写真拡大

北朝鮮の最高人民会議常任委員会は、朝鮮戦争を開始した直後の1950年6月30日、北朝鮮で最高の栄誉である「共和国英雄」の称号を制定した。「共和国英雄」の称号を受けた者は、同時に最高勲章である「国旗勲章第1級」と金メダルおよび表彰状が授与される。また、朝鮮戦争中の1951年7月17日、経済、文化、建設などの分野において特別な功績をあげた者にたいする「労働英雄」の称号が制定された。左の写真は、石油を原料とするナイロンに対して、石灰石を原料とする合成繊維であるビナロンを発明した李升基博士で、彼はビナロン工場を完成させた後「労働英雄」を授与された。右は李升基博士をソウルから拉致した人民軍偵察局の「共和国二重英雄」である李学文
 第3部 独裁者・金正日権力の源泉
 第1章 党の謀略機関を掌握し拉致工作を定式化
 [第30回] 韓国から拉致した李升基博士は北朝鮮の“核開発の父”となった

 「7月も末のことであった。工業技術連盟から、端正な小がらの紳士がわたしをたずねてきた。

 『共和国政府では、先生が興南化学工場で仕事をしてくださるようのぞんでいます。先生の御意向はいかがでしょうか?』
 
 その紳士は、きわめてていちょうな態度ではなしをすすめた。わたしはこころよく承諾した」(李升基『ある朝鮮科学者の手記』95頁)

 北朝鮮の代表的科学者で“核開発の父”ともいわれる李升基博士は、以上のように書いている。1905年に全羅北道で生まれた李升基は、青年時代を日本で過ごし、旧制松山高校を経て京都帝国大学工学部工業化学科に入学した。1939年1月に工学博士となり、その年の10月、後にビナロンと呼ばれるようになる「合成1号」という化学繊維の合成に成功した。

 京都帝大の工学部教授として研究生活を続けてきた李升基は、1944年7月、日本の「国防科学」の研究に協力しなかったため、「治安維持法」違反で大阪憲兵隊に検挙され、釈放されたのは終戦の日だったという。1945年11月、故国に戻った李升基は、京城帝大がソウル大学校に自主再建された後、工業化学科を受け持った。その後、工科大学学長になった李升基は、米軍政の「国立大学案」に反対して解職され、朝鮮戦争勃発当時は失意の日々を送っていた。

 李升基について書かれた本には、次のような記述がある。

 「朝鮮戦争でソウルが解放された数日後、博士は、現在、共和国副主席の要職にある李鐘玉氏と会った。李鐘玉氏は日帝時代に中国のある大学で化学を専攻しており李升基博についてもよく知っていた。解放直後、李鐘玉氏は清津紡績工場の支配人を務めていたが、1947年9月に現地指導で訪れた金日成主席に李升基博士を是非北に迎えるようにと提言したことがあった。

 主席も1946年に総合大学を設立する時に、李升基博士を招聘するため人を派遣したことがあったが、ちょうど博士が故郷に戻っていたこともあって、それは実現しなかった。そして、李鐘玉氏は必ず北に迎え入れるようにという主席の委任を受けて博士を訪ねたのである。その話を聞いて博士は家族とともにすぐ北に向かった」(任正△責任編集『現代朝鮮の科学者たち』12頁)

 これらの記述を読み比べると、李升基博士の手記に登場する「工業技術連盟から来た小柄な紳士」というのは、金日成の指示を受けた若き日の李鐘玉副主席であることが分かる。

 「これに応じた博士に対し〔金日成〕主席は、自動車では空襲の危険があるからと安全を考慮して、牛車を送った。博士は、この牛車で激しい戦火の中を、山を越え、川を渡って主席のもとへと急いだのである」(朝鮮新報2006年2月8日付)

 手記や北朝鮮側の説明では、李升基の越北は自由意思のように描かれているが、北朝鮮内部では、実際には朝鮮人民軍偵察局によって拉致されたことは公然の秘密になっている。

 「金日成は核兵器開発のため、人民軍偵察局の『共和国二重英雄』である李学文に命じて、李升基博士、都ウォンソン博士、都相禄院士たちを韓国から拉致した」

 2002年に韓国に亡命した寧辺核開発センターの研究者だった李美 (仮名、当時48歳)氏は、以上のように証言しており、北朝鮮内部では、李升基たちは朝鮮人民軍偵察局によって拉致されたことは、周知の事実なのである。李升基による核開発については、後に詳述することにしたい。

 朝鮮戦争中の韓国人拉致は金日成が委員長の軍事委員会の指令によるもので、戦争開始直後に労働力確保を目的としてソウル市民を大量に拉致したのは、ソウル市臨時人民委員会の李承×委員長の指示のもとに、朴一禹が内相の内務省が実施していたが、一方で、対象を限定した知識人などの拉致は、人民軍の崔遠大佐が率いる偵察局が担当していたのである。(つづく)

×はヒヘンに華 △はサンズイに赫







関連サイト

[第1回]「首相さまのご子息」は異例のスピード出世
http://www.bnn-s.com/news/08/01/071229132624.html

[第2回]金正日の権力基盤として新設された秘密警察
http://www.bnn-s.com/news/08/01/071229134648.html

[第3回]「唯一指導体系」で自分への絶対忠誠を要求した金正日
http://www.bnn-s.com/news/08/01/071229140619.html

[第4回]1975年までの対南工作を「零点」と酷評した金正日
http://www.bnn-s.com/news/08/01/080108102702.html

[第5回]謀略機関を完全掌握し権力基盤を構築した金正日
http://www.bnn-s.com/news/08/01/080109093715.html

[第6回]朝鮮解放から1年足らずで拉致を指令した金日成
http://www.bnn-s.com/news/08/01/080115093645.html

[第7回]「与えられた解放」による「上からの革命」
http://www.bnn-s.com/news/08/01/080117200341.html

[第8回]「金日成将軍歓迎大会」にすり替えられたソ連軍歓迎市民大会
http://www.bnn-s.com/news/08/01/080118093436.html

[第9回]満洲パルチザン派とソ連派が開設した「平壌学院」
http://www.bnn-s.com/news/08/01/080125090917.html

[第10回]金日成が新設した党幹部養成機関「党熱誠者学校」
http://www.bnn-s.com/news/08/01/080125112515.html

[第11回]非業の死を遂げた民族派キリスト教徒の★晩植
http://www.bnn-s.com/news/08/01/080125153845.html

[第12回]北朝鮮臨時人民委員会の委員長に就任した金日成
http://www.bnn-s.com/news/08/02/080201113144.html

[第13回]金日成を北朝鮮の指導者に決めたスターリン
http://www.bnn-s.com/news/08/02/080205102242.html

[第14回]ソ連占領軍が描いたシナリオで動いた金日成
http://www.bnn-s.com/news/08/02/080207094742.html

[第15回]1947年2月、金日成が北朝鮮人民委員会の委員長に就任
http://www.bnn-s.com/news/08/02/080210114804.html

[第16回]朝鮮人民軍の原型が整ったのは解放から2年後だった
http://www.bnn-s.com/news/08/02/080212164249.html

[第17回]2つあった対南工作員を養成する専門教育機関
http://www.bnn-s.com/news/08/02/080213152202.html

[第18回]正規軍は「北朝鮮人民軍」ではなく「朝鮮人民軍」と命名
http://www.bnn-s.com/news/08/02/080220101301.html

[第19回]民族保衛省と内務省に対南工作部署が確立される
http://www.bnn-s.com/news/08/02/080220154303.html

[第20回]北朝鮮の長い国名はロシア語案を誤訳したものである
http://www.bnn-s.com/news/08/02/080226132305.html

[第21回]北朝鮮工作員が最初に日本に潜入したのは1949年
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080226160622.html

[第22回]アチソン演説の後に金日成の南侵統一を承認したスターリン
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080227162644.html

[第23回]ソ連軍の支援を受けて10個師団に拡充された朝鮮人民軍
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080305094321.html

[第24回]米軍介入を恐れる発言で停職処分となった崔庸健民族保衛相
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080306165207.html

[第25回]開戦準備が進むなかで展開された「平和的統一」の欺瞞工作
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080311094408.html

[第26回]職業軍人でないにもかかわらず前線司令官を務めた金策副首相
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080313135850.html

[第27回]開戦初日に部隊間の通信が途絶した朝鮮人民軍
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080317150007.html

[第28回]金日成の戦争目的のひとつは50万人の韓国人大量拉致だった
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080321094127.html

[第29回]朝鮮戦争当時に大量拉致された韓国人の実態の分析
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080324134737.html

[第30回]韓国から拉致した李升基博士は北朝鮮の“核開発の父”となった
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080326095409.html

[第31回]朝鮮戦争参戦を決断した毛沢東
http://www.bnn-s.com/news/08/03/080330162726.html

[第32回]一時は金日成に対して亡命を勧告したスターリン
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080331174923.html

[第33回]朝鮮戦争中に拉致され北朝鮮工作員となった韓国人の証言
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080405174932.html

[第34回]対南工作を実施した人民軍最高司令部直属の526軍部隊
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080408090309.html

[第35回]国内派(南労党)の牙城だった工作員養成機関「金剛学院」
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080409154755.html

[第36回]対日工作員は朝鮮戦争中でも養成され日本に潜入していた
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080414151453.html

[第37回]朝鮮戦争中にソ連派重鎮の粛清に成功した金日成
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080416172756.html

[第38回]クーデター発覚によって廃止させられた金剛学院
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080418143420.html

[第39回]朝鮮戦争後に組織改編された対南工作機関
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080422120517.html

[第40回]1950年代に日本に潜入していた工作員は内務省所属
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080424163248.html

[第41回]朝鮮戦争直後の拉致の疑いが濃厚な「特定失踪者」
http://www.bnn-s.com/news/08/04/080425101500.html

[第42回]朝鮮総連の誕生直後に工作員に包摂された在日朝鮮人
http://www.bnn-s.com/news/08/05/080425111726.html

[第43回]国家情報委員会と内閣情報総局は実在していたのか
http://www.bnn-s.com/news/08/05/080502105451.html

[第44回]金日成に対する個人崇拝を史上初めて公然と批判した尹公欽
http://www.bnn-s.com/news/08/05/080507122026.html






このページのTOPへ




WEBアンケート
シリーズ一括読み

お天気WEB Hokkaido

Google

有料会員ログイン

有料会員登録

会社概要
プライバシー・ポリシー
ご意見・お問い合わせ
BNN市民記者募集
メルマガ登録・解除
リンク集

当サイトは、リンクフリーです。バナーが必要な方は下のバナーをお使いください

北海道ニュース BNN [Brain News Network]


アンケート



HOME | ニュース | 札幌市政 | 女性の視点 | スポーツ | BNN-TV | 催事・生活情報 | スポンサー一覧
Copyright(c) Brain News Network [BNN] Co.,ltd.All Rights Reserved.