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荻野アンナさんらに贈呈、伊藤整文学賞


06月14日(土) 08時30分
文:井上 写真:井上



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ブロンズ像を贈呈され、喜ぶ慶應義塾大学教授の荻野アンナさん
 13日、小樽グランドホテルで贈呈式。

 13日午後5時半から、小樽グランドホテルで、第19回伊藤整文学賞贈呈式が行われた。

 先月8日、第19回伊藤整文学賞の選考委員会が東京都内で開かれ、小説部門に荻野アンナさん(51)の「蟹と彼と私」(集英社)、評論部門に穂村弘さん(46)が「短歌の友人」(河出書房新社)が受賞作品に選ばれた。

 「蟹と彼と私」は、食道癌を発症した恋人との生活がユーモアを交えながら描かれてている。

 「短歌の友人」では、1980年代から大きく変わり始めたといわれる短歌が新鮮な視点で分析された。

 贈呈式には、受賞者の荻野さんと穂村さん、伊藤整文学賞の会の新谷昌明会長(元小樽市長)、2人の選考委員などが出席した。

 式の始めに新谷会長が挨拶、選考委員が各受賞作の評価を述べた。

 黒井千次選考委員は、「蟹と彼と私」について「さまざまな感情の重なりの中に、強靭な精神の現れがあった。ユーモアのある叙述で、病の谷底から聞こえてくる声が、笑い声だったという、力を与えられた作品だった」と語った。

 松山巖選考委員は、「短歌の友人」について「現代感覚で、1980年代から90年代に作品を発表し始めた歌人の作品を論じている。内容が分かりやすく、とても清新な印象を感じた」と述べた。

 続いて、新谷会長が受賞者2人に小樽出身の彫刻家・斉藤吉郎作のブロンズ像「カモメ呼ぶ少女」と賞金100万円を贈呈した。2人は受賞について次ようにコメントした。

 荻野さんは「この賞を受賞したと聞いたとき、携帯電話を握り締めて固まってしまった。作品の1番の読者は(癌を発病した)彼だった。彼の協力を得て書き始めた。作品は彼が回復したあとに快気祝いとして配るつもりだったが彼は亡くなった。彼がいなくても、書き続けなければならなかったが、それで私は生きることができた」と述懐した。

 穂村さんは「受賞したと聞いたあと、これまでどんな人が受賞してるのかを見て、ラディカルで危険なにおいのする作品揃いで嬉しかった。短歌は昔から日本人が作り続けてきた。その時々の人間の気持ちや心の風景が詰まっている。それを見ていくことで、人間の心がどうやって変化してきたのかが分かり、時代の差が見えてくる」と語った。

 伊藤整文学賞は、小樽出身の文学者・伊藤整氏(1905年〜1969年)の功績をたたえ、1990年に創設。主催団体は伊藤整文学賞の会、小樽市、北海道新聞社。






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歌人の穂村弘さんは評論部門で受賞、ブロンズ像を贈られた


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受賞の挨拶で、執筆していたときの気持ちを語る荻野アンナさん


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受賞の挨拶の冒頭、緊張のあまり声が震えた穂村弘さん






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