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独裁者の秘密を徹底検証 ドキュメンタリー金正日 第69回


 
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| 1967年6月3日、韓国軍は江原道三△郡遠徳面の海岸に浸透してきた北朝鮮の工作母船(40トン)を発見し、拿捕した。この工作母船の最大速度は、35ノットだったという。韓国の情報機関には、北朝鮮の工作船に関する資料が膨大にあると思われるが、公表されている工作母船の写真では、私が知る限りで、この写真がもっとも古いものである。△は渉のサンズイがコザトヘン |
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第3部 独裁者・金正日権力の源泉
第1章 党の謀略機関を掌握し拉致工作を定式化
[第69回] 半島統一を目指して1967年に再編された第124軍部隊
対南工作の責任者だった李孝淳が粛清された秘密中央委員会の総会が閉幕してから9日後の1967年5月17日、韓国では、中央情報部(KCIA)が金大洙ほか13人をスパイとして逮捕した、と発表した。
慶尚北道出身の金大洙には金亨洙(音訳)という弟がいたが、弟は朝鮮戦争のときに北朝鮮に渡った越北者だった。金亨洙は北朝鮮で工作員に徴用され、密封教育を受けた後、慶北大学医学部の教授をしていた兄を工作員に引き入れる任務を与えられ、韓国に潜入した。再会を果たした兄弟は大邱で13人の協力者を獲得し、金亨洙は協力者たちに工作員教育をおこなった後、北朝鮮に脱出した。兄弟は短波無線で連絡を取り合っていたが、KCIAに察知され、金大洙は協力者全員とともに逮捕されたのだった。
金日成は、金大洙のスパイ組織に注目していたようで、事件発覚から7カ月後の12月16日、最高人民会議第4期第1回会議の席で、「国家活動のすべての分野で、自主、自立、自衛の革命精神をいっそう徹底的に具現しよう」と題した演説をおこない、そのなかで、わざわざ金大洙スパイ事件に言及している。金日成は、慶北大学の金大洙教授を中心とする革命組織は北朝鮮の工作員が教唆したものではなく、北朝鮮の人民は南朝鮮の不屈の革命戦士の戦いを積極的に支援する責任がある、と述べたのだった。当時の韓国は、こうした欺瞞も信じられてしまう社会状況だった。
北朝鮮の対南工作組織が改編されていた最中の6月3日、韓国の江原道三△郡遠徳面の海岸に、北朝鮮の40トンほどの工作母船が浸透したが、韓国軍に発見され捕獲される事件が起こった。北朝鮮の対南工作は、その年の初めに金日成が苦言を呈した後も、黒星が続いていたのだった。
工作母船が拿捕されてから2カ月後、学生だった私は、ソウルからバスで、春川、洪川を経由して、拿捕地点から100キロほど北の草束を訪れた。
草束は韓国の名峰雪嶽山の登山口であり、草束に着いた私は登山申請のため草束警察署に行ったが、警察署内にはほとんど誰もいなかった。何事かと尋ねてみると、「雪嶽山の山中に北朝鮮のスパイが現れ、全署員が緊急出動している」という返事だった。当時の私は南北の熾烈な諜報戦や緊張状態について無知であり、武装ゲリラが出没する山へ登ろうとしていたのである。雪嶽山登山は中止になったが、草束警察での光景は私の朝鮮半島に対する見方の原点となった。
1967年7月8日、KCIAは、西ドイツ留学中の韓国人大学教授と学生を中心とした「東ベルリン拠点対韓工作団」の関連者194人を摘発した、と発表した。KCIAの発表によれば、北朝鮮の海外工作員である文ジョングァンと徐ハクチョルが東ベルリンを拠点に、1958年から1967年までの間、尹伊桑(作曲家)、李応魯(画家)、林ソクチン(明知大学助教授)、鄭ハリョン(慶北大学助教授)、趙ヨンス(元外国語大学講師)、金ジュンホァン(韓一病院皮膚科課長)、鄭ビョンヒ(誠信夜間大学講師)など194人の韓国人留学生、教授、芸術家、医師たちを抱き込み、韓国社会に北朝鮮の統一方策の宣伝を浸透させ、社会主義革命に向けた雰囲気を作り、「決定的な時期」に武装蜂起する計画を進めていたという。
検挙されたうちの何人かは、モスクワ経由で北朝鮮を訪れ、平壌で対南事業総局の李孝淳や徐哲に面会し、朝鮮労働党に入党して、工作指令を受けていた。この事件は「東ベルリン留学生スパイ団事件(東ベルリン事件)」と呼ばれている。東ベルリン事件は東西冷戦下で、2つの分断国家が関係した外交問題にまで発展し、KCIAによって韓国に強制連行され、死刑判決を受けた尹伊桑は、西ドイツの抗議で釈放され、1971年に西ドイツの市民権を取得しながら、その後も北朝鮮の海外工作員として活動を続けた(1995年病没)。
粛清された李孝淳が率いていた対南事業総局は、党の工作活動を管轄しているだけだったが、対南事業総局が解体され、新設された党対南工作担当書記に許鳳学が任命されると、許鳳学は人民軍総参謀部偵察局の対南工作活動にも力を注ぐようになった。
人民軍偵察局では、1960年代初頭に「第17偵察旅団」が編成され、1966年ごろに第17偵察旅団から抽出した隊員で「第38空挺旅団」が新設されていた。また、1965年ごろに、対南工作を専門とする党の「第283軍部隊」が創設されたが、その活動が不首尾に終わったことから、1967年3月に第283軍部隊は解体された。そして、第283軍部隊の隊員と訓練基地が再編成され、新たに偵察局に「第124軍部隊」が誕生した。
人民軍中将でもある許鳳学は、第124軍部隊を韓国の各道に対応する部隊(基地)に編成し、担当地域の習熟訓練を繰り返させ、1970年代に半島を統一する主力部隊になることを目指したのだった。(つづく)
△は渉のサンズイがコザトヘン 






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