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独裁者の秘密を徹底検証 ドキュメンタリー金正日 第73回


 
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| 上掲の新聞のスクラップは、私個人の古いファイルをコピーしたもので、左が青瓦台襲撃未遂事件の続報を伝える1月23日付、右がプエブロ号拿捕事件を報じた翌24日付の毎日新聞である。23日付の紙面にある写真は、金新朝少尉が捕らえられたときのものだが、まだ氏名などは不明で、「ソウル侵入の際捕らえられた北朝鮮スパイ団の1人」という説明となっている。左下は、捕らえられた金新朝少尉(当時26歳)が取り調べのために連行されるときの様子だが、着ていたコートは証拠品として没収され、写真のコートは警察から支給されたものと考えられる(ソウル新聞より転載)、右下は、今年で40周年となる「1.21事態」についてインタビューを受ける金新朝牧師(2008年1月21日付中央日報) |
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第3部 独裁者・金正日権力の源泉
第1章 党の謀略機関を掌握し拉致工作を定式化
[第73回] 兵装転換に手間取りプエブロ号救出に間に合わなかったF4ファントム
事件が起きた日付から「1.21事態」と呼ばれる青瓦台襲撃未遂事件では、韓国軍警の合同捜索部隊が逃走するゲリラたちへの追撃作戦を展開し、1月末までに金新朝少尉を除く28人を射殺(うち1人は自爆)した。一方、ゲリラ捜索本部の発表によれば、韓国側の被害は、軍人24人、警察官1人(鍾路警察署長)、米軍人2人、民間人8人の計35人が死亡し、67人が負傷した。
「青瓦台事件では、捕虜になった金新朝の他に、2人が生き延びています。追撃を逃れた2人のうち、1人は重傷を負い、腹部からはみ出す腸を手で押さえながら、北朝鮮に生還しました。3号庁舎の敷地内には『南朝鮮革命博物館』という丸い建物があるのですが、そのなかには、青瓦台襲撃の生還者が着ていた血染めの衣服や、作戦に使用した装備類が展示され、工作員に対する生きた教育がおこなわれています。生き残ったうちの1人は、今は師団長になっています」
党連絡部の元工作員で1991年に韓国に亡命した黄龍基(仮名)氏は、以上のような秘話を私に語った。
捕虜となった金新朝少尉は、放免された後は会社員となり、1987年の大韓航空機爆破テロの実行犯である金賢姫を自供させるために尽力した。金新朝氏は、1991年にソウル洗礼神学校を卒業し、現在は京畿道南楊州市の教会で牧師をしている。
朴正煕大統領は、事件当日の深夜、ポーター駐韓米国大使を青瓦台に呼んで、次のように言い放ったという。
「大使! 北傀(北朝鮮)の奴らが侵入し、私を殺しにきた。北を攻撃しなければならない。2日で平壌まで進める!」
そして、北朝鮮が謝罪しない場合、報復攻撃をおこなうべきだという書簡を、朴正煕大統領は米国政府に送付した。
「1.21事態」の混乱のなかで、まだゲリラ掃討作戦が展開されていた23日正午、北朝鮮の領海付近で通信情報を傍受していた米海軍保安群(NSG)の情報収集艦「プエブロ号」(935トン)が、北朝鮮海軍のSO1級駆潜艇(SC-35)に発見され、国籍を問われ、停船を命じられた。プエブロ号側は公海上であるとして停船に応じなかったが、30分後、3隻の魚雷艇とMiG21戦闘機が現場に現れ、緊迫した事態となった。
当時は領海について、米国は3カイリ、北朝鮮は12カイリを主張しており、プエブロ号は北朝鮮の領海にいたのかどうかは不明である。しかし、北朝鮮は領海侵犯だとして、「停船しなければ発砲する」と警告したが、プエブロ号は停船しなかったため、SC-35駆潜艇が57ミリ砲で砲撃した結果、米軍の見習い機関兵1人が死亡し、3人の水兵が負傷した。プエブロ号は暗号や極秘文書の消却、電子機器の破壊など秘密保全に努め、午後1時45分、救援要請を打電した。プエブロ号は元山港に向かうよう命令され、2時32分、北朝鮮海軍将校が乗り込んで来たという連絡を最後に、プエブロ号からの通信は途絶した。
米海軍横須賀基地に所属し、公式的には「環境調査艦」であるプエブロ号は、1月11日、長崎県の佐世保港を出港し、対馬海峡を潜行するソ連の潜水艦探知をおこなっていたが、青瓦台襲撃未遂事件が起こったため、急遽北上して、元山の沖合で北朝鮮の通信傍受にあたっていた。
プエブロ号被弾という報告を受けた米第5空軍司令部(東京都府中市)のシース・マッキー司令官は、韓国の米空軍第314戦闘航空団(群山)に対し、F4ファントム戦闘爆撃機の爆装が整いしだい、直ちに発進させるように命じた。
「その時点において、群山基地にはSIOP(単一統合作戦計画)アラートに就いていたF4戦闘爆撃機2機と予備の1機、そのほか一時派遣の2機があった。これら計5機はSIOP任務から外され、ただちに通常爆弾で配置に就いた」(2000年3月14日付東奥新聞)
青森県三沢市の米空軍第475戦術戦闘航空団の1968年度の年次報告は、事件発生当時の群山空軍基地のF4ファントムについて、以上のように記述している。
文中の「SIOPアラート」というのは、米軍の核戦争計画に基づいて核爆弾を積載した爆撃機が警戒飛行にあたるということで、F4ファントムは核爆弾専用の特殊な爆装だったため、命令受領後に直ちに発進できる状態ではなかったのである。通常爆弾を積載するためには、核爆弾専用の爆弾架を取り替える必要があり、その兵装転換に時間がかかったため、プエブロ号救出には間に合わなかった。この顛末は、1942年6月のミッドウェー海戦において、南雲艦隊が艦載機の兵装を魚雷から爆弾の転換に手間取っている間に、米軍機に来襲された戦史を彷彿させる。
現場には沖縄の米空軍第18戦術戦闘航空団のF105サンダーチーフ戦闘機が飛来したが、午後4時30分、プエブロ号は北朝鮮の領海内に入ったため、救出活動は断念せざるを得なかった。(つづく) 






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[第52回]1950年代半ばに対日工作員の日本潜入方式を確立
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[第53回]戦前に日本で生活した経験者を対日工作員として徴用
http://www.bnn-s.com/news/08/06/080602134634.html

[第54回]対南工作機関は「対南事業総局」と改称されて規模を拡大
http://www.bnn-s.com/news/08/06/080605142340.html

[第55回]社会安全省と人民軍偵察局の対南工作活動も強化された
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[第56回]北朝鮮から届いた写真の人物は加瀬テル子さんだった
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[第57回]潜入工作員が密航者だと警察に偽装自首する手法も登場
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[第59回]寺越事件の家族を訪朝時に迎えたのは工作機関の党連絡部日本課長
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[第70回]日本の官公庁を震撼させた総連工作員の「外務省スパイ事件」
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[第71回]北朝鮮の対南工作活動を在日朝鮮人密輸組織が支援
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[第72回]「青瓦台を襲撃し、朴正煕の首を取れ」と命令された工作組
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[第74回]瀕死の韓国人捕虜の前で自白を強要されたプエブロ号の艦長
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