|
独裁者の秘密を徹底検証 ドキュメンタリー金正日 第85回


 
 |



| 上段は、1968年に北朝鮮に拉致された疑いが濃厚な特定失踪者4人で、左から、美容師の屋木しのぶさん(19歳)、高校3年生の水島慎一さん(18歳)、高校3年生の斉藤裕さん(18歳)、高校2年生の国井えり子さん(17歳)。下段左2枚は、1969年の特定失踪者(1000番台リスト)の2人で、高校3年生の今井裕さん(18歳)と高校2年生の大屋敷正行さん(16歳)。屋木さんと水島さんは富山で、斉藤さんと国井さんは北海道から、それぞれ数週間の差で消息不明になっている。右下の2枚のカラーは、2005年に脱北者から提供された写真で、左は、1975年頃に拉致された日本人男性で、1962年に行方不明となった特定失踪者の加瀬テル子さんの夫といわれている(第56回参照)。右の女性は脱北者の説明によると、「この女性は日本人で、平壌の鞍山招待所で賓客の接待する仕事をしていた」という。特定失踪者問題調査会の調べなどで、2枚のカラー写真の背景の壁が同じであることが判明し、この女性は国井えり子さん(上の白黒写真)ではないかと見られている |
|
|
 |
第3部 独裁者・金正日権力の源泉
第1章 党の謀略機関を掌握し拉致工作を定式化
[第85回] 1960年代末の特定失踪者は6人全員が10代後半の青年
「工作船は、昭和43年〔1968年〕には、5月に石川県能登半島赤崎沖、6月に輪島沖、11月に兵庫県浜坂町沖で3回目撃され、昭和44年〔1969年〕3月には青森県深浦町沖と山形県鶴岡市沖、7月に兵庫県香住町沖、10月に能登半島門前町沖、11月に兵庫県竹野町沖、青森県岩崎村沖と7回目撃されている」(『金日成の野望』上巻277頁)
産経新聞の柴田穂記者は、独自の取材で以上のように書いている。
1968年から1969年にかけて、既述してきたようにさまざまな工作活動が展開され、多くの工作員が日本に潜入し、日本から脱出していることが判明している。
一方、特定失踪者問題調査会が拉致の疑いが濃厚として1000番台リストに登載する特定失踪者は、1968年に4人、1969年に2人となっているが、この6人全員が10代後半の青年であるという事実は、「条件拉致」(第41回参照)だった可能性を物語っている。本連載の第58回で紹介した1962年以後、1968年までの5年間の1000番台の特定失踪者は2人だけで、1965年6月9日に実家手伝いの坂本とし子(22歳)さんと、1967年9月に印刷工の日高信夫(22歳)さんが消息不明になっている。
以上の情報から1968年と69年の北朝鮮の対日工作活動を、時系列に整理してみると次のようになる。
1968年
1月中旬 富山県下新川郡入善町で美容師の屋木しのぶさん(19歳)が失踪
2月9日 富山県下新川郡朝日町の宮崎海岸で高校3年生の水島慎一さん(18歳)が失踪
5月 「足立事件」の朴◎華が脱出(場所不明)
5月 石川県輪島市赤崎町沖に工作船が出没
6月 石川県輪島市沖に工作船が出没
7月11日 青森県西津軽郡の岩崎海岸から「自首スパイ」の尹孝同が脱出
7月 在日韓国人のカン・ジャンウンが脱出(場所不明)
9月1日 鳥取県から「足立事件」の朴◎華が潜入
9月15日 青森県岩崎海岸から「自首スパイ」の尹孝同が潜入
9月 在日韓国人のカン・ジャンウンが潜入(場所不明)
9月下旬 尹孝同が包摂した韓国人が脱出(場所不明)
10月15日 青森県西津軽郡の深浦海岸から「岩崎・能代事件」の金邦鎮が脱出
11月 兵庫県美方郡温泉町浜坂沖に工作船が出没
12月1日 北海道稚内市内で高校3年生の斉藤裕さん(18歳)が失踪
12月12日 北海道網走市内で高校2年生の国井えり子さん(17歳)が失踪
1969年
3月2日 青森県弘前市内で高校3年生の今井裕さん(18歳)が失踪
3月 青森県西津軽郡深浦町沖に工作船が出没
3月 山形県鶴岡市沖に工作船が出没
7月27日 静岡県沼津市の大瀬崎海岸で高校2年生の大屋敷正行さん(16歳)が失踪
7月 兵庫県美方郡香美町沖に工作船が出没
10月1日 青森県岩崎海岸から「水山事件」の金一東が潜入
10月 石川県輪島市門前町沖に工作船が出没
11月 兵庫県城崎郡竹野町沖に工作船が出没
11月13日 青森県岩崎海岸から金邦鎮が潜入直後に逮捕(岩崎・能代事件)
11月 青森県西津軽郡岩崎村沖に工作船が出没
このリストをみると、北朝鮮の工作船は1968年に少なくとも11回、1969年に8回日本に侵入していることになる(但し、1969年11月の青森県岩崎海岸の事例は同一侵入の可能性もある)。いずれにせよ、摘発されるスパイ事件と同様、確認される工作船の侵入回数は氷山の一角にしか過ぎないのである。(つづく)
◎ は憬のリッシンベンがオウヘン 










このページのTOPへ




|