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ケチの付き始めは支庁再編問題 高橋はるみ知事「惨憺たる1年」 前編


12月29日(月) 15時55分
文:松本 



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安倍晋三首相からサミットの開催地が北海道に決まったことを受け、会見に臨んだ高橋はるみ知事(昨年4月23日)。開催地の知事としてそつなく任務をこなしたが、経済効果は大きくなかった
 乙部町に「イカゴロ」海中投入中止を求め、寺島光一郎道町村会長との全面戦争が勃発。

 支庁再編問題の迷走、談合事件への対応ミス、会計検査院に指摘された不正経理問題、北海道空港の社長人事をめぐるドタバタ劇…。致命傷とは言えないまでも、数多くの失点が重なった2008年は、高橋はるみ知事にとって何ともさえない1年間だった。北海道洞爺湖サミット開催地の知事としては無難に任務をこなしたが、道政面の実績は見あたらない。道職員の給与カットが継続されたこともあって庁内の求心力は低下する一方。知事を支えてきた自民、公明両与党も次期総選挙で野に下る寸前という情勢では、まさに内憂外患、四面楚歌。テレビに映る満面の笑みも、一皮むけば、知事周辺から「3期目は出馬せず、道政を投げ出すのでは」といった観測まで飛び出すほどの窮状だ。

 知事の後援会「北海道を愛するみんなの会」(会長・山口博司伊藤組会長)が12月11日に札幌市内で開いた政治資金パーティー「高橋はるみさんと謳う かけがえのない北海道」。特別講師の道産子オペラ歌手、岡元敦司氏が講演の合間に「アベ・マリア」を熱唱し、約700人の出席者が聞き入った。

 異変が起きたのは、岡元氏から知事へバトンタッチした直後だった。高橋知事が登壇すると、ほどなく、無視できない数の出席者がごそごそと帰り支度をはじめたのだ。顔見せだけのつもりだった出席者が、岡元氏の熱唱ぶりに、席を立つタイミングを失っていた面はある。しかし、この日の知事の演説は、確かに精彩を欠いていた。

 知事は、講演時間の大半を、半年近くも前のサミットの裏話に費やした。しかも「ブッシュ米大統領には警備犬までついてきた。アメリカのワンちゃんは大変ね」などと、トリビア(ささいな)話を連発。ようやく道政の話に移ったかと思えば、「道議会でいじめられている」、「『女帝になっているんじゃないか』と言われるが、私の実感は違う」などと、言い訳がましい発言ばかりが耳に付いた。

 二度の知事選を経験した演説巧者。それなりに笑いも誘ったが、「北海道をどうするか」という知事らしい前向きなメッセージは最後まで発せられなかった。熱烈なはるみファンも「もっと堂々としてほしい」とぶつくさ言いながら会場を後にしたほどだ。

 やや同情的に説明すれば、結局、今の知事には、サミット以外に語るべきものがなかったということなのだろう。実際、道政のこの一年間を振り返ると、その実績は惨憺たるありさまだ。

 とりわけ一年を通じて迷走し続け、高橋道政の重荷となったのが「支庁再編問題」だ。高橋道政の欠点を浮き彫りにしたテーマでもあり、やや注意深く、事の経緯を振り返ってみよう。

 ケチの付き始めは、3月に勃発した「イカゴロ(イカの内蔵)」騒動だった。日本海の「磯焼け」対策としてイカゴロの海中投入試験を行う桧山管内乙部町と、産業廃棄物のイカゴロの投棄を「違法だ」と決めつけて中止を求めた道との対立だ。乙部町長が、道町村会の寺島光一郎会長だったことが、問題を複雑にした。町村会側が、道の仕打ちを、支庁制度改革に反対していることへの「意趣返し」と受け止めたのだ。

 事もあろうか4月に知事が抜擢したばかりの佐藤俊夫副知事が、自ら火に油を注いでしまった。道庁内で会談した際、「(海中投入は)違法です」などと紋切り型で回答し、寺島氏は「私を被告人にするということか」とさらに怒りを爆発させた。高橋知事が「佐藤副知事は悪くない」と周辺に語ったことが、寺島氏に漏れ伝わり、ついに高橋知事VS寺島会長の全面戦争に発展した。

 これに慌てた道は、イカゴロ問題で法解釈の誤りを全面的に認め、逆に海中投棄継続を支援するなど恭順の情を示した。しかし、時すでに遅し。寺島会長は怒りを収めるどころか、水面下で佐藤副知事の解任を要求するまでエスカレート。イカゴロ問題はいつの間にか支庁再編問題にすり替わってしまった。

 支庁再編の関連条例は、徹夜となった6月の定例道議会でなんとか可決に持ちこんだ。これで事態は沈静化するかに見えたが、寺島会長はあきらめなかった。支庁再編の前提となる公職選挙法が改正されないよう、自民党本部に猛烈な陳情活動を始めたのだ。

 この執念には自民、公明の両党も度肝を抜かれた。衆議院の解散総選挙が迫る中、なんとか道町村会の協力を得たい自民党は、「道と町村会が分かり合う必要性がある」(大島理森国対委員長)と、知事の意向を無視して、公選法改正の先送りをあっけなく決定。全国町村会の次期会長候補にも取り沙汰される寺島氏の政治力をまざまざと見せつけた。

 当時、高橋知事は、側近が近づくのもはばかられるほどいら立ちを隠さなかったという。道新に「4月再編断念」と報じられたことに腹を立て、「私は断念していない」と強がったのもこのころだ。自民党の中堅道議は「4月実施を安易に撤回すれば知事の責任論に直結することを恐れたから」と分析するが、結局、4月の条例施行が不可能な状況は変えられなかった。

 そもそも知事が4月施行にこだわったのは、3期目の知事選に影響が出ないよう、2期目前半でこの不人気政策に決着を付ける狙いからだった。こうした思惑は完全に外れたばかりか、道議会与党との不協和音も増幅させてしまった。仮に、次期衆院選で政権交代となり民主党政権が実現すれば、支庁再編は完全に頓挫しかねない。慌てて鳩山由紀夫幹事長への接近もはかっているが、戦略的に練られた動きにまでは至っていないのが実情だ。

 以下、後編に続く。







関連サイト

後編
http://www.bnn-s.com/news/09/01/081231110827.html






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