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“誤読宰相”の購入書籍を詳報する新聞各紙の「みぞゆう」


 
漫画好きからのイメチェンは功を奏したのか。
「大平正芳 『戦後保守』とは何か」(福永文夫著)、「ローマ亡き後の地中海世界」(塩野七生著)、「自由と民主主義をもうやめる」(佐伯啓思著)など7冊。複数の新聞は12月28日朝刊で、麻生太郎首相が冬休み初日となる27日に購入した書籍を詳細に報じた。中には7冊すべての書名を列挙した社もあったほど。
一国の宰相はどんな本を読破するのか――確かに気になることではある。
だが、筆者は「漫画ばかりを読んでいる」とのイメージを払拭したい首相側近が新聞をツールにしたと勘ぐっている。
漫画好きで若者にも人気といった親しみやすいイメージを売り物にしてきた首相だが、支持率は下降の一途。「頻繁」を「はんざつ」、「踏襲」を「ふしゅう」、「未曾有」を「みぞゆう」と誤読したことも、支持率低下の一因となったことは間違いない。
首相が漢字の読み方を知らないという決して座視できない異常事態にもかかわらず、多くの国民は腹立たしさや資質の欠如といった情念よりも、ただただ虚脱感を抱いているのであるまいか。
首相の「医師は社会的な常識がかなり欠落している人が多い」との発言も、医者に病気を診てもらった経験がある人ならば、ある程度は賛同できる内容だ。
しかし、漢字も読めない首相にそんなことを言われれば、日本医師会ならずともカチンときて当然。
漫画好きや誤読の失点をカバーするためには、“敷居が高そうな”書籍を購入した事実が必要かもしれないが、各紙がご丁寧にも書名まで詳報したケースは記憶にない。
これまで各紙が首相の動静などで報じてきた内容は、朝日新聞の「3時10分、赤坂の書店で書籍購入」(1997年12月14日、橋本龍太郎首相)とか、毎日新聞の「首相はその後、東京・渋谷の雑貨店や百貨店、書店を訪れ、約1時間半かけて工具セットや書籍を購入し(首相公邸での)新生活に備えた」(2006年11月27日、安倍晋三首相)など簡素な内容ばかり。
12月28日の記事が首相に対する“援護射撃”になったのか、それとも贔屓の引き倒しになったかは定かでないが、“誤読宰相”が購入した書籍を詳報するという事態は、まさに「みぞゆう」と言って差し支えあるまい。










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