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辻正仁の「音(オン)ラインにゅ〜す」 <今年の音楽シーンの動向は?>


01月07日(水) 09時35分
文:辻 



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プロ・アマ問わず世界中のアーティストが登録しているソーシャル・ネットワーキング・サービス「MySpace」
 〜 「売れるモノ」から「良い音楽」を提供する時代に 〜

 前回は札幌インディーズ・シーンを中心に、今年の注目株や期待したいアーティストを紹介したわけですが、今回は一気に海外にまで目を向けて、昨年までの傾向から今年の音楽シーンの動向をうかがってみようと思う。

 昨年、個人的に喝采を送りたかったのは、新人「Duffy」の大ヒットである。CDとしての発売に先駆けて、まずインターネット配信によるダウンロード・アクセスが記録的なヒットになり、その勢いで続くCD作品もダントツのチャートNo.1を獲得した。

 「配信の影響でCDが売れなくなった」という説明はまったくナンセンスであることを実証したようなものだ。聴き手にとって魅力的な良質の作品を提供すれば、ダウンロードでの人気がそのまま宣伝効果にもなって、CD売り上げに反映されるということである。

 一時期、配信による売り上げダウンを恐れたメーカーは音楽配信に消極的であったが、いまやそんなことを考える人はほとんどいないだろう。メーカーもCDの売り上げが伸び悩む現在、いかに配信で儲けを得るかという考え方に移行している。

 もうひとつ。これだけCDが売れなくなり音楽配信が盛んになってくると、予算のないアーティストなどは従来のように「初回限定」とか、「ジャケット5種類」などという、音楽以外の付加価値をつけて一人に何枚もの同じ音楽を買わせようというようなパッケージが作りにくくなってくるのではないかと僕は読んでいる。

 これらのことからわかるのは、CDにしろ配信にしろ、結局、良い作品を作っていくしかないということではなかろうか?バラエティなどと連動した企画モノは残るとしても、アーティストが認められるようなヒット曲というのは、楽曲の良さという部分でなければ長い期間にわたっての活躍はできないだろう。

 現在、アメリカで生まれた「MySpace」というソーシャル・ネットワーキング・サービスが日本でも広がっている。まぁ、「アメリカ産mixi」といった感じのサイトなんだけど、ここでは「アーティスト登録」といものをすると、自分のページで自分の音源やライブ映像などを紹介することができる。

 日本人アーティストはまだそう多くはないが、アメリカをはじめとする諸外国ではメジャーの大物アーティストの名義で多数の登録があり、ここで試聴用に音源を流したり、ライブなどの活動案内をしたりと、プロモーションツールとして活用されている。

 さらに、無名のインディーズ・アーティストも、メジャーと同等の扱いで多数登録しており、宣伝手段を持たないアマチュアですら、自分の音源や情報を世界中に発信することができるのだ。有名無名問わず世界中のミュージシャンの作品を聴いていると、その多様性に驚かされる。なかには、「MySpace」での人気をきっかけにデビューしたアーティストもいる。

 一度、誰かがヒットすると、自社のアーティストも似たような音作りでヒットを狙うという、これまでのメジャーの方法は完全に時代に遅れているなと感じてしまう。ネットの世界ではそれぞれの個性を活かした音楽がよりどりみどりなのだ。単一的にヒットするモノを作ろうとする発想は、それぞれの音楽性が同等に扱われはじめた時代には完全に後手にまわることになる。

 ネット配信という手段が手に入りそれが普及するにしたがって、音楽は「本当に良い作品が受け入れられる」という、当たり前といえば当たり前の、いわば原点に立ち返って行きつつあるように思う。

 そして、簡単に音源が手に入れば入るようになるほど、その時その場でしか体験できない、ライブがアーティストの評価を決める鍵となっていくだろう。

 これまでは、アルバムを作るとそのプロモーションを兼ねてコンサート・ツアーを行うというのが通常だったが、小田和正、井上陽水、山下達郎などベテラン勢はすでに、新作を持たずにツアーを行い、動員を増やしつつその影響で過去作品をロングセラーにしている。海外でも、マドンナなどが大手コンサート・プロモーターと音源製作の契約も交わすなどライブを中心とした活動へとシフトチェンジしつつある。

 もともと予算のないインディーズなどは初めからライブで認められなければ音源を作るのも難しいし、作ったものを売るきっかけとして、良いライブをするしかないのである。今年以降も、ライブに主眼を置く傾向は拍車がかかるだろう。

 以前にも書いたが、自主制作だろうと世界中に情報発信できる時代だ。そしてライブで観客と直接信頼関係を深めることがさらに重要となっている原点回帰のような音楽状況の中で、このままではメジャーのレコードメーカーというのはアーティストにとっても、ユーザーにとってもあまり存在価値のないものになりかねない。

 メーカーも今、大変な状況だとは思うのだが、ここはひとつ、音楽文化に最も貢献してきたという原点に立ち返っていただいて、目先の売り上げを追うだけでなく、売れているアーティストの収益を次世代のアーティストに還元してく。良い新人を10年かけて、30年親しまれる良い音楽を提供できるアーティストにじっくり育てあげていくというような考えを持ってほしいなと思うのです。







■辻 正仁(つじ まさひと)

1966年生まれ。
フリーライター、FMドラマシティ「海月屋本舗(毎週月曜18時)のパーソナリティ、シンガー・ソングライター等々、様々な分野で活動中。
自主制作レーベル「海月屋(くらげや)」主宰。



関連サイト

マイスペース
http://jp.myspace.com/






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